量刑と起訴/不起訴について
-量刑の基準となるもの-
まず、刑事事件の量刑は、いろいろな要素で変わってきます。
なので、一概にこれくらいとは言えず、事件の内容等にもよるといえます。
主に次の要素が大きいです。
・犯行手順の悪質性
(特殊な機器を使用、動画をネットにアップロード、執拗に同一人物を狙う等)
・犯行の計画性
(痴漢や盗撮をするため出かけたり等。逆は何かのついでに出来心で)
・再犯の可能性
(再犯しそうかどうかの人物像と、再発防止に向けた行動をしているか否か)
・被害者との示談状況
(被害者にお詫びをしたか、慰謝料や損害賠償を行ったか、示談をまとめたか等)
・余罪の量
(一度目で捕まることは稀で、この手の犯罪は何度も繰り返しているうちに捕まる)
・前科/前歴
(同種の罪で前科前歴があると、やはり重くなる傾向にあります)
・社会的地位や職業
(教師、政治家、警察官、医師、弁護士等重くなりやすいです)
・捜査への協力姿勢
(否認したり、うその供述が多かったり等すると、印象はわるくなります)
これと併せて、迷惑防止条例の場合、都道府県によって条例が異なるため、そもそもの量刑が違います。
しかし、近年、改正されることが多く、ほとんどの地域で、罰金なら100万円以下の罰金または懲役1年以下(常習の場合2倍)になっています。
これの詳細は⇒刑事罰について詳細で書きます。
痴漢の場合、下着の中に手を入れると、迷惑防止条例違反ではなく、強制わいせつになりますので、まったく罪の重さが変わってきます。
また、他の罪が組み合わさる場合(児童ポルノ、建造物侵入等)は、量刑は当然重くなります。
特に、盗撮や痴漢は相手が18歳未満の場合、児童ポルノ禁止法が確実についてくるので、重くなると思ってよいです。
また、盗撮でパソコンを押収され、ネットからダウンロードした児童ポルノに引っかかるものがあれば、児童ポルノ所持法にもかかるので、重くなります。
-よくある判例-
次に盗撮等、迷惑防止条例違反で起訴される場合の、一般的な判例という物についてです。
私の経験や、いろんなニュース、ネットの情報をまとめると次のような感じです。
あくまで一般であり、前述の量刑の基準をほとんど無視した場合です。
・盗撮や痴漢で初犯(初めて捕まった)の場合
罰金30万前後が多い
・2回目に捕まった場合
前回より重い罰金 一回目30万なら50万、一回目不起訴なら30万等が多い
・3回目に捕まった場合
正式裁判(公判請求)から執行猶予付き懲役刑か、略式起訴で罰金50万が多い
・4回目以降
ほぼ確実に正式裁判(公判請求)
・執行猶予中に捕まった場合
ほぼ確実に懲役刑
・執行猶予満了後に捕まった場合
執行猶予中よりましだが、すでに何回も捕まっているはずなので、執行猶予付きかつかないかどちらかの懲役刑
罰金の場合は、ほとんどの場合略式裁判となり、正式裁判までしなくてよいです。(不服申し立てすれば、裁判になります。)
例えば、初犯で示談が成立している場合や、被害者不明の場合等は、不起訴になる可能性が高いと思われます。
2回目以降でも、示談することにより、本来の刑より減刑される可能性が高くなります。
逆に、初犯でも、すごい人数を盗撮し、その動画をネットで販売していた場合等、あまりに悪質な場合、いきなり懲役刑(執行猶予はつくと思います。)になったりもします。
これに合わせて、最初に書いた、量刑の基準によって、結構変わります。
なので、あくまで一般的な例としてみていただいて、その時の状況と内容により、変わると思ってください。
もし、現在捕まったという場合は、少しでも量刑を軽くし、できれば不起訴を目指すため、示談や再発防止など、できることをするとよいと思います。
一点、確証はない情報ですが、警察から検察へ渡す調書と合わせて、担当刑事のコメント的なものが存在しているようです。
例えば、捜査に協力的だったり、境遇や人間性から少し罪を軽くしてもいいのでは、といったものや、捜査に非協力的で反省の態度も見えないため厳罰を求める等、そういったものがありそうです。
これも量刑判断には関係してくると思いますので、警察での心証も、気にしたほうが良いと思います。